vol.01「目の成長を考える」目の専門家が視機能の発達に関して教えます!
2017年12月23日 ach naviブログ

幼児期からスマホやタブレットに触れ、動画を観ることが多くなった現代の子どもたち。

 

そもそも目や視力は、どう成長していくのか多くの方が認識せずに、他の体の器官同様、成長していくと思います。ただ、視力が良くないことでメガネをかける子どもも大変多くなっている昨今。大学で研究を続けている「目の専門家」半田知也教授に目の成長に関して教えていただきます。

 

1回目となる今回は最初に聞いておきたい事を質問に答えていただく形式で教えていただきました。

 

「目はどうやって成長するの?」

プレママから幼児期のお子さんを育てている皆さん必読です。

 

Q1

一般的な目の成長を、0歳からある程度の年齢までお教えください。

A1

目の機能は生まれてから獲得するところが多く、新生児期の視力0.01未満です。調節(ピント合わせ)、眼球運動など基本的機能も未熟な状態。当然の眼球の大きさも成人に比べて小さいです。

 

生後4~6ヵ月くらい(個人差大きい)には、滑らかな両眼共同運動(左右眼が同一方向に動く)、調節(ピント合わせ)、輻湊(より目)が可能になり、両眼視(両目を使う立体視などの高次機能)も発達し始めます。同時に、このころから“まなざし”を感じるようにもなります。

 

1歳の誕生日を迎えるあたりで、調節(ピント合わせ)と輻湊(より目)が連動するようになり、近く見るときには調節(ピント合わせ)を行い、同時に、輻湊(より目)を自然に行えるようになります。基本的な視機能は1歳ころまでに獲得されると考えられています。

 

その後2.5~3歳ころまでに視力1.0以上、安定した両眼視機能(立体視など)を獲得します。

 

生後4~6ヵ月から8歳頃までを視覚の感受性期間(視覚が発達する期間で、中でも、生後4~6ヵ月から2.5歳~3歳ころが最も重要な視覚発達の促進期)といい、8歳の誕生日を迎えるころには、大人と同様の視機能となります。

 

 

ここまでが、生後から大人同様の視機能になるまでの基本的なフローです。

ですが、成長がうまく進まないケースもございます。

 

 

Q2

お子さんが成長する過程で、視機能の成長がうまく進まないことがあるとしたら、どういった症状がございますか?

A2

日常生活の中で保護者が気付くものとして、

①黒目の中の色が白っぽい、左右眼で色が異なる。

②右目と左目の視線の位置が異なる(片目が内に寄る、片目が外に寄る、など)。

③文字や絵本を見たがらない、非常に近づいて見る。

④一方の眼を隠すと嫌がる。顔を傾けてテレビなどを見る。

 

 

もちろん順調に成長していらっしゃるお子さんも、8歳以降に視機能で問題が起こる可能性はございますが、「ach navi」では、大人と同じ機能に到達する8歳までの間の成長に特化してお伝えしていきたいと思います。

 

あまり注意深く普段の生活で見ていなかったとしても大丈夫です。これをお読みいただいた方は、今日、お子さんの状況を確認してください。①〜④をお気づきになった場合は・・・下記をご一読ください。

 

Q3

①〜④の症状の原因はなんでしょうか?

A3

目を通して外界からの光が網膜~脳に伝わることで視機能は発達します。外界からの視覚刺激が遮られると発達が阻害されます。

 

質問2の症状に対しては、下記が原因として考えられます。

①白内障や網膜病変など網膜への光を遮る疾患

②斜視(両目の視線のズレ)

③屈折異常(強い遠視・近視・乱視)

④不同視(右目と左目の屈折異常の差)

 

これらの原因により視機能の発達が阻害されて弱視(視機能の発達が遅れている、または停止している状態)が生じます。

 

 

できれば、早い段階でお子さんの状態に気づいてやれるといいのですが、お気づきになられたら・・・

 

Q4

では、その弱視を治すにはどうしたらよいでしょうか?

A4

弱視の原因に関係なく、治療の基本は屈折矯正(適切な眼鏡矯正)と遮閉法(弱視視能訓練)を行います。弱視視能訓練(片目が弱視の場合)は良い目を眼帯(大きな絆創膏のようなシール状の眼帯)で遮閉し、弱視眼のみで日常生活を行うことで、強制的に弱視眼を使用させる方法が一般的です。

 

しかしながら、遮閉法(眼帯)は患者・保護者の精神的負担、皮膚のかぶれ、両眼視の発育阻害、遮閉弱視(遮閉により良い目も弱視となる)のリスクなど無視できない副作用があることが懸念されます。

 

できれば、早く治してあげたい。でも、副作用はないほうがいい。

長年、多くの専門家の方々が研究をされてきたと思いますが、いい治療法が確立されてきていなかったのも事実。そこで、単刀直入にお聞きしました。

 

Q5

では、弱視視能訓練に関しまして、副作用の懸念のない新たな訓練はございますか?

A5

眼帯を用いた弱視視能訓練法の歴史は古く、数百年前から大きな変化は認められていませんでした。

近年、眼帯による遮閉法の副作用をなくし、弱視患児の弱視視能訓練に対するモチベーションを向上、効果的治療を目的として、「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」が本邦で開発されました。

 

私も初めて知りましたし、多くの方がそうだと思います。

目の成長過程から、成長が進んでいない場合の例を教えていただきましたが、効果的な治療法ができるだけ多くの方に伝わるよう、ここからは「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」を紹介したいと思います。

 

Q6

新たな訓練ができる「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」に関して、これまでの症例とその後の状況をお教えください。

A6

従来の眼帯を用いた弱視視能訓練では視力1.0を獲得するまでに平均1年半以上の治療期間が必要でした。しかしながら、オクルパッドを用いた弱視視能訓練の治療期間は平均半年ほどで、2~3倍の効果(治療期間の短縮)が認められています。しかも、眼帯を用いた弱視視能訓練の1日あたりの訓練時間は(一般的に)3時間ですが、オクルパッドの訓練期間は1日あたり1時間未満と短時間です。さらに、オクルパッドは両眼開放下の弱視訓練であるため、両眼視機能獲得の予後が良いことも利点です。

 

Q7

最後に、「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」の詳細をご説明ください。

A7

近年,遮閉法の基本原理(健康な眼を遮閉して,弱視眼を強制的に使用させる)を踏襲しながら,眼帯による遮閉法の問題点を克服し,両眼開放下による両眼視機能の獲得及び,現代の映像ゲーム技術を取り入れた「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」が本邦で開発されました。

 

「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」は、タブレット端末のLCD screenから偏光フィルム層のみを除去するように特殊加工(ホワイトスクリーン技術)することで、偏光フィルムを通さずタブレット端末の画面をみると白い画面(バックライトのみ)が見えます。偏光フィルムを通した場合は画面の映像が見える原理を用いていますので、弱視眼に偏光フィルタを、健眼にLight Reduction Filterをいれた眼鏡(見た目はサングラスのようで、ただ眼鏡のようにかけるだけ)を装用することで、両眼開放下で弱視眼の作動訓練を行うことができます。

 

 

眼帯を用いた遮閉法の副作用の懸念がなく,LCD screen内の映像以外は両眼で見えるため、日常視を維持し、周辺融像(両眼視)を妨げない利点を有します。

 

「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」の訓練は、タブレットに内蔵される専用アプリケーションのオクルパッドタンジブル(ブロック型インターフェースを用いて画面操作する)を利用します。オクルパッドタンジブルの訓練アプリケーションはさんぱつゲーム、おそうじゲーム、もぐらたたき、どうぶつキャッチ、たまごはこび、リフティング、エイリアンハンター、カプセルトイがあります。どれも夢中になってしまうものばかり!

 

さらに実施した訓練実施時間と訓練内容を装置内に自動保存できるため、訓練コンプライアンスを正確に管理・評価できるため治療の効果判定、継続判定を行う上で有用な機能です。眼帯による遮閉法を拒否していた親子も、「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」は楽しみながら行える場合が多く、弱視視能訓練に対する保護者の理解も得られやすいことも長期間に渡る弱視視能訓練において重要なポイント。

 

「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」はゲーム性を取り入れた訓練により小児自ら楽しんでゲームすることが弱視訓練となる小児の気持ちに寄り添う弱視訓練装置として普及され始めています。

 

いかがでしたか?

次回も目の成長に関して、「目の専門家」半田教授にお話をお聞きします!

 

お話を聞いたのは・・・

北里大学 医療衛生学部 

半田知也教授

 

Tomoya Handa Profile

2006年北里大学大学院眼科学を修了(医学博士)。同年、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学助手、2005年に講師、2013年に准教授、2016年より教授。視能訓練士免許(国家資格)

眼科医療技術で社会に貢献する「実学的思考」をモットーに、眼科医療はもちろんのこと、3D映像監修、LED照明開発、玩具、自動車、スポーツ視覚トレーニングなど、様々な分野を繋ぐ視機能の専門家として活躍中。研究開発した視機能検査訓練機器「タブレット型弱視訓練装置(オクルパッド/Occlu-Pad®)」は眼科医療で広く用いられている。

 

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